企業型DCに役員が加入するときの注意

こんにちは。

役員が加入するときの注意点についてです。

社長
役員も入れるんですか?

DC先生
中退共とは異なり、役員も加入できます

 

個人型DCであれば、国民年金保険料を納めている20歳~60歳までの人は加入できます。

今回は企業型DCの話です。

企業型DCは厚生年金加入者であれば役員も加入することができます。

 

メリット:税金の負担なく個人資産ができる

社長
会社で掛金をかけられるんですよね?

DC先生
会社の損金にして役員の個人資産をつくれます

 

企業型DCの掛金は税金・社会保険料の対象外です。

企業型DCの掛金は実質として報酬アップすることです。

でも役員には税金も社会保険料もアップせずに報酬アップになるのです。

会社は掛金が損金になります。

 

メリット:退職の事実がなく退職所得控除が使える

社長
会社で退職金なら準備しています

DC先生
DCは退職の事実なくして老後資金が受け取れるんですよ

 

通常、退職所得控除を使うには退職という事実があって退職金等を受け取ることが前提です。

確定拠出年金は退職は支給事由になりません。

60歳などの一定年齢になったら受け取れるというものです

そのため、60歳でいったん退職所得控除を使ってDCを受け取り、その後5年以上あけて退職したときにまた退職所得控除を使って2回退職金を受け取る、なんてこともできます。

 

選択制で給与減額を伴う場合はタイミングに注意

社長
加入にあたって注意点はありますか?

DC先生
給与減額を伴うプランにすると報酬改定になります

 

給与減額を伴る導入形態の場合、事業年度の途中では所定の手順をふまないと認められません。

役員報酬の減額になる決算時に行なわないと難しいので、タイミングに注意しましょう。

 

社会保険料が下がらない場合もある

社長
でも給与減額を伴うプランにすれば会社も自分も社会保険料が下がりますよね?

DC先生
報酬によっては下がらないケースもありますよ

社会保険料の等級は上限があります。

役員は一般的に報酬が高く社会保険料等級の上限に達している場合が多いようです。

その場合給与減額を伴う導入では、社会保険料が少なくなる効果は期待できません。

 

社員と役員の制度設計のポイント

社長
報酬減額にしないプランがいいのかなあ・・・

DC先生
役員と従業員で別テーブルにしてもいいですね

 

役員は給与減額を伴なわない制度設計、従業員は給与減額を伴う制度設計、ということもできます。

 

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9件のコメント 企業型DCに役員が加入するときの注意

  1. 木村裕司 より:

    DC導入のポイントがよくわかりまし。

    • 宮一 幸子 より:

      木村様 はじめまして。コメントありがとうございます。

  2. 伊藤 より:

    いつもためになる情報をありがとうございます!

    何点か教えていただけますか?

    役員さんは、退職の前後5年のどちらかでDCをもらうとお得という事ですね!
    DCの受け取りが75歳になったら、
    70歳で退職金をもらって、その5年後、更に5年運用できたDCをもらう、というのが一番お得なのでしょうか。
    (長生きしないといけませんね!)

    iDeCoも併用できるようになった時は、選択型企業年金をMaxしてiDeCoもMaxがお勧めですか?

    それから、これは別の問題なのですが、
    法人変更して、社員一部を、DC登録をしている会社から新設会社に移行する場合、
    移行になった社員のDCの扱いはどうなりますか?

    お忙しいところ申し訳ありませんが、教えていただけるとありがたいです!
    資料も楽しみにしております。
    よろしくお願いします。

    • 宮一 幸子 より:

      伊藤様
      コメントありがとうございます。
      役員の場合、退職の前後でもらうとお得ということではないので、ちょっと誤解を与えてしまったかもしれません。
      退職所得控除は以前に退職所得控除を使っていると通算があります。
      通常は4年以内が通算ですが、確定拠出年金の場合は14年と長くなってしまうのです。
      だから確定拠出年金を退職金より先に受け取るなら通常どおり5年空けば通算にならないのですが、確定拠出年金が退職金の後だと退職金から15年あけないと通算になるということです。
      70歳で退職金をもらってその5年後にDCだと、後者になってしまいます。
      iDeCoと企業型の選択はケースバイケースです。
      新会社の件はグループ会社で新会社も同じプランでDC導入であればグループ会社内の勤務先変更ですが、そうでなければいったん資格喪失になります。

      • 伊藤 より:

         宮一先生、早速のご回答ありがとうございました。
        DCの退職金控除は15年空けないといけないのですね。
        誤解してしておりました。
        教えていただきありがとうございました。
         DCの資格については、グループ会社であれば変更可能なのですね。
        安心しました!!
        一旦全て売却せず、勤務先だけの変更でかまわないというのは、本当にありがたいです。
         これからも先生のサイトやメールマガジンで勉強していきたいと思います。
        ありがとうございました。

  3. 田中 里美 より:

    教えて下さい。
    役員は期中マッチング拠出はできないのでしょうか。

    • 宮一 幸子 より:

      田中様こんにちは。返信が遅くなりすみません。マッチング拠出はあくまで役員個人の所得の中からの拠出です。役員報酬額が変わるわけでもありません。役員報酬としてもらったお金の中から拠出するというもので、拠出した金額は全額所得控除になるというもの。従業員と同じように、マッチング拠出の申し込みのときにできます。

  4. 総務 デラサン より:

    役員報酬を減額してDC拠出するとすれば、前月と当月で受取り報酬額が変わるので定期同額に抵触するということでしょうか。DCへの加入及び運用は役員個人の任意の話であり、会社としては支払う報酬に変化はないという考えですが。結果として非課税分の源泉徴収税額が変わることになるのでNGということになるのですか。ということは、加入時期を株主総会終了直後の取締役会開催時の報酬額決定のタイミングとすればよいのでしょか。「所定の手順を踏まないと認められない。」の手順をご教示下さい。

    • 宮一 幸子 より:

      総務デラサン様 こんにちは。給与切り出しプランの場合、まず給与改定をして給与を下げて、新給与とライフプラン手当にしておく手順となります。そしてライフプラン手当から任意にDC掛金に拠出できるように導入します。この確定拠出年金の掛金は「給与ではない」という扱いになり、税金も社会保険料もかからないものになります。役員報酬も同じで掛金にした分は「報酬ではない」という扱いになります。ご質問の中にあったとおり、役員報酬は期中に変えられない原則があります。たとえば役員報酬が50万円の人が44万5000円とライフプラン手当55000円にし、掛金55000円で確定拠出年金に入ると実際に役員として受け取る報酬は44万5000円です。確定拠出年金の掛金55000円は報酬でないという扱いになります。そのため、役員が給与切り出しプランをする場合には報酬が変えられるタイミング(事業年度開始後3ケ月以内)に株主総会の決議を経て行うことになります。ちなみに役員の場合はDC掛金額の変更の場合もそのタイミングにすることが注意点となります。

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